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日本農業労災学会・東京農業大学総研研究会共催シンポジウム 『農業労災学の体系化・実証的解明の基本課題と農作業事故予防のノウハウ・労災補償対策の革新方向』
全体討論 左から宮永均氏、早川至氏、門間敏幸氏、三廻部眞己氏、白石正彦氏
開催日 2014年10月1日
会 場  東京農業大学【世田谷キャンパス】横井講堂

 本学会創立の趣旨では、平成23年の労災加入者1,000人当たりの年間死傷者数は、農業8.8人、建設業5.2人、林業27.7人、製造業2.7人、全業種平均2.1人と、農林業の事故発生率が異常に高い点、この現状は農政面でも、地域農業の振興に努めているJAの営農対策上からも放置できない事態に立ち至っている点を強調している。

このような農作業事故の深刻な事態の克服のためには、
第1に、農業労災学研究の体系化(農業就業における国際的・国内的な安全で健康な管理システムの枠組み研究の深化)と実証的研究(Plan-Do-Check-Actのメカニズムの解明)が大きな課題である。
第2に、高齢者に多発している農作業事故(農水省の調査では平成24年の農作業死亡事故350件のうち①年齢階層別では65歳以上層の死亡事故件数割合が79.4%、②要因別では農業機械作業に係る死亡事故件数割合が73.1.%、③性別では男86.3%)に注目した予防のノウハウと労災補償対策に関する農業政策やJAグループの営農指導体制、農業機械メーカー等の安全・予防対策の取り組みが大きな課題である。
第3に、農業就業者の高齢化の一方で担い手の法人化・集落営農組織化・農外からの就農・農企業参入(雇用労働者がいる農業者等管理責任を有している経営体)の増大など農業構造が大きく変容する環境激変の下での多様な担い手に焦点を当てた労災事故・疾病を予防する内発的なモデル農業経営とモデルJAづくりが大きな課題であり、実践現場の多くの方々の積極的な参加を大いに期待している。

シンポジウムは、このような問題意識に基づき今年4月に創立した日本農業労災学会と東京農業大学総研研究会(就農者推進教育研究部会・労災対策研究部会・農協研究部会)が共催で、以下の要領で開催した。

テーマは「農業労災学の体系化・実証的解明の課題と農作業事故予防のノウハウ・労災補償対策の革新方向」とし、①農林水産省の松岡謙二生産資材対策室長、②本学会三廻部眞己会長、③門間敏幸東京農業大学教授、➃臼井稔全国農協中央会営農企画課長、⑤宮永均秦野市農業協同組合参事がそれぞれ基調報告を行った。

以上の基調報告に対して
①松岡公明農林漁業団体職員共済組合理事長が農業労災学の体系化・実証的解明の基本課題と行政・JAグループの農業労災予防・労災補償対策の革新方向について
②宮田正信東京農業大学総研就農者推進教育研究部会長が高齢化と多様な就農者の実態に焦点をあてた農業労災予防・労災補償対策の革新方向について
③瀬川徳子社会保険労務士法人たんぽぽ会代表から社会保険労務士の実務面の業務を通じて明らかになっている農業労災予防・労災補償対策の革新方向について
それぞれコメントを行った。

最後に、コメントへの報告者の回答ならびに出席者から提出された質問事項への回答を踏まえ全体討論を行った。